
長期入院していたメインギターが、帰って来た。フレットを打ち直してもらい、ネックも調整してもらって、まるで生まれ変わったかのように素晴らしいバランスとトーンになった。
僕が10年来、メインとしているエレキギターは、サイケデリズムのSolid Thinlineというギターで、fホールと呼ばれる穴が空いているが、実は空洞が無いデザイン。
初めて出会った時、目が釘付けになって、金縛りにあったような感覚になったことをよく覚えている。
(ちなみに、ハタチそこそこの頃、ヴィンテージのGretsch Country Gentlemanを買った時も、弾いた瞬間に体に電流が流れた)
後々までずっと使い続けるものは、出会いの瞬間が違う。僕はその感覚を忘れずにいたいと思っている。(ペットの犬や猫を飼っている人は、似たような感覚がわかるかもしれない)
サイケデリズムのギターに話を戻すと、恵比寿にあるこのお店は、二人だけでやっているギターショップで、もともとはリペアがメインだったのだが、オリジナルギターを作ってみたら、プロの現場での評判がすこぶる良く、いつの間にか広まって、たくさんの種類を作るようになった。(たくさんと言っても、工場で量産されているわけでは無いので、そんなにたくさんの数ではない)
ヴィンテージのサウンドを敬いながら、現代の音楽シーンにマッチした立ち上がりの速さを兼ね備えたギターと言えばいいだろうか。
僕は10年の間、このギターを育て、このギターに育てられて来た。
そしてスタッフのお二人も、
「10年前よりも僕らも成長したのかもしれないです」
と話してくれた。そう、成長したのはギターと僕だけではないのだ。
使い続けないとわからないこともある。
仕事としてこのギターを使う身としては、とにかく、いつでもメンテナンスが安心して受けられるというのは、ありがたい。
こんなに親身に手入れをしてくれるお店は他にはないだろう。
感謝の気持ちを、ライブに、レコーディングに込めたいと思っている。
指先から、耳から、目から、身体中から。
エレキギターという魔法は、今日も解けることなく僕のそばにある。